お金に関する誤解②(保険はこんなに損をする)
日頃から、当コラム(ブログ)をご覧いただきありがとうございます。
今回は、お金の価値の考え方において多くの人が誤解していることについて、前回に引き続いて述べていきたいと思います。
今回は、
「時間的価値を考慮できないことによる損失の例」
をご紹介いたします。
・学資保険
(某保険会社(A社)で、以下条件で見積もりをしてみました。)
【条件】
契約者年齢:35歳(男性) 子の年齢:3歳
受取総額:300万円
(15歳:50万円、18歳:100万円、19,20,21歳:各50万円)
【月払保険料】
17,380円(支払総額:約313万円)
⇒この保険は、かなり損をする保険です。解説いたします。
はじめにおことわりしておきますが、支払総額313万円に対して、受取総額が300万円(13万円少ない)であることのみをもって、損と言っているわけではありません。契約者死亡時などは以降の払い込みが免除されますので、その保険的な要素として、手数料がかかるのは当然のことです。
論点はそこではなくて、「インフレ」に関してです。
現在、コロナ禍や国際情勢不安等があり、多くの方が物価高に苦しめられています。物価高を言い換えれば、「インフレ」です。お金の価値が下がることです。
世の中は基本的にインフレですから、お金の価値は年々下がっています。インフレ下において、現在の1万円と10年後の1万円では、現在の1万円の方が価値があります。これを保険に置き換えると、今払う保険料1万円と将来受け取る保険金1万円では、今払う保険料1万円の方が高いということです。
ここで、上記の学資保険を、「インフレ率1%」と「インフレ率2%」という仮定の下で、保険料・保険金を全て現在価値に換算すると以下の金額になります。
【インフレ率1%と仮定した場合】
受取総額(現在価値):約258万円 支払総額(現在価値):約291万円
【インフレ率2%と仮定した場合】
受取総額(現在価値):約223万円 支払総額(現在価値):約271万円
インフレ率1%では30万円以上のマイナス、インフレ率2%では50万円近くのマイナスということになります。ちなみに、35歳男性が15年以内に死亡する確率は約2%(令和2年簡易生命表を基に計算)ですから、保険料として適正な金額は、せいぜい6万円程度(300万円×2%)ということになります。よって、その何倍もの手数料を実質的に支払わされるこの保険は、損ということになります。
いかがでしょうか。13万円程度の手数料と思っていた保険が、時間的価値を考慮すればそれ以上の負担になることをご理解いただきたいと思います。
これが分かる人は、無駄な保険には加入しません。損だと分かるからです。
これが分からない人は、無駄な保険に加入してしまうことになるのです。得をするような錯覚に陥ってしまうからです。
正しい知識を身につけて、無駄な出費をしないよう注意していきましょう!
お読みいただきまして、ありがとうございました。
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