相談実例のご紹介②(相続・贈与)

日頃から、当コラム(ブログ)をご覧いただきありがとうございます。

今回は、当事務所にお問い合わせ頂いたお客様の相談実例をご紹介いたします。

以前お客様から頂いた「相続・贈与」に関するご質問と回答について、ご紹介いたします。

【お客様プロフィール】
 70代女性(配偶者あり・子供あり)

【ご質問内容】
 将来、子供たちを相続税の支払いで苦しませないために、毎年少しずつ生前贈与し、相続財産を減らすよう努力しています。今後も続けていくつもりです。
 贈与の際、贈与契約書を作るようにしてきましたが、今後も作っておいた方がよいですか。

【回答(概要)】
 作らないよりは作っておいた方がよいですが、作っておけば大丈夫というわけではありません。本当に贈与しているのであれば、贈与契約書の有無はさほど重要ではありません(銀行振込等を証拠とすることは可能)。


【回答の補足】
 ご質問者様はかなりの財産をお持ちで、将来お子様への相続が発生した場合は、相続税の支払いが見込まれます。
 将来の相続税を減らす目的で、少しずつ贈与することは有効な対策です。
(「相続税より贈与税の方が高いのでは?」
 と思われるかもしれません。計算は省略しますが、少しずつであれば贈与していった方がトータルでは節税になります。)

 贈与・相続に関しては、様々な噂がまことしやかに囁かれています。
 契約書の作成有無に関する事もそうですが、それ以外にも
 「1年の贈与金額は110万円を少し超えるくらいにして、確定申告すべき」
 「子ども名義の銀行口座を作っておいて、そこに振り込んでおけば大丈夫」
 などという噂をよく耳にします。
 このような噂は、真に受けない方がよいです。

 贈与に関して最も大事なことは、
 「実態として、本当に贈与しているかどうか」
 ということです。
 本当は贈与なんかしていないのに、贈与したことにしようとするから、問題になるのです。
 本当に贈与したことを証明するために、贈与契約書の作成だけでは不十分です。

 契約書の作成よりも大事なことは、
 ・贈与された側が、贈与されたことを認識していること
  ⇒例えば、親が内密に子名義の銀行口座を作って、そこに振り込んでいた
   としても、子が認識していないのでダメということです。
   反面調査(税務署が子に聞き取りを行う)でバレます。
 ・贈与対象の財産(金銭・動産など)の管理が、贈与された側に完全に移転していること
  ⇒例えば、親(贈与する側)と子(贈与される側)が別居していて動産の
   贈与を行う場合、その動産は子の居宅になければ不自然です。
 ・贈与された側が、その財産を実際に使ったり消費したりしていること
  (もらったものは、多少なりとも手を付けるはずですよね。)
 といったことです。

 契約書等の証拠を残すことは大事ですが、それ以上に
 「実態として、本当に贈与しているかどうか」
 が大事なポイントです。
 
 小手先だけの対策は税務署に簡単に見抜かれる上、いわゆる「やぶへび」になりますので、やってはいけません。税務署の調査は、書類だけで判断するほど簡単なものではなく、総合的に判断します。税務署の調査能力を侮ってはいけません。

 今回は以上といたします。
 お読み頂きまして、ありがとうございました。


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2022年09月06日